【 刊行物 】



<東アジア善本叢刊>について

研究領域代表 磯 部  彰


 東アジア世界は、木版を主とする印刷術の導入によって、大きな社会変貌を遂げ、近世社会から近代社会、そして現代を迎えることとなった。

 しかし、本格的な印刷が開始されて約一千年が経過する中で、様々な出版物が様々な理由でその姿を消した。前人の獲得した知識や情報が、ある段階で途絶え、後世に伝達されないことは誠に惜しい限りである。我々は、平成12年度(2000年)4月より、文部科学省の科学研究費による<東アジア出版文化の研究>という一大プロジェクトを開始し、過去から今日にいたる東アジア世界を、出版文化を通して分析しようと試みつつある。その研究過程にあって、極めて重要な役割を演じ、その稀覯性ゆえに特別の保存が求められる典籍類を見出した時、後代への保存伝達という観点からその複製本を作り、広く江湖に提供しようと考えた。名づけて<東アジア善本叢刊>と言う。その選定対象は、以下の基準に拠る。

@:出版対象は、中国を主とする東アジア諸国の印刷物を主とする資料で、時代は宋代から清末までとするが、資料的価値を考えれば刊本に限定するものではなく、写本・絵画・文書類など、幅広い資料を扱う。
A:資料の選定に際しては、従来より未公開、もしくは未発見であったもので、資料的価値の高さを考慮し、とりわけて歴史・文化的に意義を持ち、利用者が相対的に多いと予測されるものを優先する。
B:資料が産出された時代の古さについては、一定の考慮がなされるが、必ずしも優先されるとは限らない。
C:資料の複製に際し、原典の趣を残し伝えるように努力するとともに、その価値を示すべく解題を専門家によって付す。
D:東アジア善本叢刊は、各国・各ジャンルの単本、及び特別なコレクションのシリーズ叢書の双方から構成される。

 <東アジア善本叢刊>は、単年度2種類の発刊を目安とし、その選定は、文部科学省特定領域研究<東アジア出版文化の研究>編集委員会によって行なう。本叢刊は、領域研究<東アジア出版文化の研究>の研究成果の社会還元の一つとして公刊される。

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〜東アジア善本叢刊 第1集 唐僧取経図册〜



 



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〜第2回東アジア出版文化に関する国際学術会議併設展

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「アジア むかしの本のものがたり」図録解説〜



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今後の予定

〜東アジア善本叢刊 第2集 中村不折「西域文書資料集」〜